凜-Rin-
Rin

ギター・ソロ部門「グラナイーナ」

Comment受賞者コメント

後悔があるとすればなんだろう。
セミウィンザーに不向きなネクタイを選んでしまったことだろうか。
やむなくプレーンノットへ切り替えたが、何事も準備は大切だと痛
感した。


人は誰しも後悔のもとに今を生きている。
過去というスペクトラムに取り残されたまま、償うことで未来を希
うのだろう。


何者であるかの証明など必要なければ、誰が為に音を紡ぐこともな
い。
そこにあるのは「自惚れ」と書いた信念だけで、葬る随に化粧とし
てわずかに艶めくかぎりだ。


綺麗なままで気に入りのページに挿んでいる忘れ去られた押し花の
ように、頽れそうな瞬きの中でひどく饒舌に海馬を撫でられたなら—


輪郭を持たない今日という胚を満たすだけの藻屑さえあればいい。
物憂げをカラフルに彩るこの"未来"があるから、あの日夢中になれた
ことがきっとある。
懶に溶かした過去も、友を亡くしたあの夜も。
全てを音に込めていく。




至高のヴィンテージと呼ばれるその日まで。

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